
深緑の守護者(クリックで700×652サイズ)
砂塵が舞うその地で 彼(か)の人は育った
堕ちた星の欠片が 数奇な運命をその身にもたらした
風は吹いている
永久に変わらず 何時も彼の人の傍で
薄氷のような暗闇で 何度自分と対話をしたのだろうか
ずいぶんと血に汚れた ふと気が付けば血に染まっている
知らずに凍ったその顔は 何時、どうしたら、どうすれば・・・?
運命(さだめ)だもの しかたがない
そうあるしかない 当然のことだから 私はそうするしかない
影の存在すら忘れたら 哀しみすら忘我の果てに
人は自分を見つめるもの 闇はそれをいつでも示す
風を駆ける彼の人は
漆黒の翼を雄々しく広げ 翔けるように駆ける
本当はふんわり笑う人なのに
心地よい草枕を抱いて ひっそりとまどろむように
風はそ知らぬふりで 彼の人を誘(いざな)う
多くの敵が群れるその場所に 生が軽く重く光るその時へ
風が駆ければ 鮮やかな紅(くれない)が舞う
朱の華は咲いては 瞬く間に散っていく
翡翠に輝く人を 朱に重ねて汚しながら散っていく
深い緑の残像と濡れ羽色の美しい黒き羽を残して
彼の人の纏う風が去った時 そこには絶えた骸がおりなした
彼の人が握る二十の魔石と十(とう)の賢者の粋(すい)
それは彼の人の哀しみを知るがゆえに 強さを知るゆえに
されど 彼の人を誰が知る? 誰が守る? 誰が・・・?
せめて 祈りを贈ろうか
大切な彼の人のために 心を込めて
翔けるように駆ける彼の人が眼前に来る前に そっと祈ろう
もしももしも この後(のち)に
彼の人に穏やかな刻(とき)が来るのなら
良い香りの草を枕にして 共に昼寝をしようじゃないか
たっぷり眠って目覚めた時に もしも満天の星空だったなら
語ろうか それともこのバイオリンをゆったり聴かせようか どうしようか
ああ、どんなに言葉を募っても
重ねて来た刻(とき)は偽ることは無いんだ
彼の人は 風のまろびと
私の誉れ高き 風駆ける連理の友
Fin.